作家たちの描く正月の風景は、静かで寒さが染み入る美しい風景でした。向田邦子、森茉莉、鏑木清方の思い出にのこる正月とは。
向田邦子
かつて、正月のドラマシリーズにもなった向田邦子の描くお正月の風景は、慌ただしさの中に静けさと美しさがありました。
『父の詫び状』で描かれる正月は、年始客の対応もあり、これが大変で…
森茉莉
森茉莉さんのエッセイは、彼女が認めた美味しいものと、それ以外のものに対する悪口で満たされています。彼女の描くお正月の風景はやっぱり食べ物のことが多いのです。
婚家でのお供え飾りや独身時代の錦糸卵、水飴を入れた黒豆、師走の風情などを書いています。
そしてやはり、戦前の師走や正月は寒くて静かなんですね。
鏑木清方
日本画家の鏑木清方はすぐれた随筆家でもありました。四季折々の風景や行事を描いた随筆の中にはお正月の描写も。
お歳暮には竹で編んだかごに入ったみかん。お年賀やお年玉には、自ら意匠をデザインした手ぬぐいを配り、龍の絵の凧を描いた年賀状。二日には書き初めで宝珠を描く。
古き良き戦前の町には、和歌を書いた宝船の絵を売る子どもたちの声。文章にはスケッチが添えられ、当時の風情を感じられます。
それにしても、鏑木清方デザインの年賀状や手ぬぐいをもらった方は羨ましい…。

