『ヤクザときどきピアノ増補版』鈴木智彦

ヤクザときどきピアノ エッセイ・随筆

ヤクザときどきピアノ』、てっきり反社系の話かと思いきや、ヤクザライターさんがピアノを習うドキュメンタリー。

音楽の素晴らしさを伝える文章のはずが、銃とかクスリとか、ヤバいワードで表現されているのが面白い。

ヤクザライターがピアノを習うまで

長年取材したヤクザ本を校了し、ハイになった頭に流れ込んできたABBAの『ダンシング・クイーン』に感動。

なんとしても、この曲をピアノで弾きたい!と思い込んだ作者は、ピアノ教室に片っ端から連絡するも断られてしまう。

彼を受け入れてくれた教室で教えてくれるのは、レイコ先生という個性豊かな女性。

「練習すれば弾けない曲などありません」

と、ド素人の作者に合わせた熱血指導を行う。

そして出版社の提案で発表会で『ダンシング・クイーン』を弾くことになってしまった。

果たして、無事発表会で演奏できるのか…。

極道用語でピアノを語る

ヤクザライターの語る音楽はかなりハード。

熟練のテクニックを持つレイコ先生のことを、こう表しています。

人を殺したことのあるヤクザが特殊なオーラを放っているのに似ている

また、レイコ先生の演奏に感動した時は、三十八口径九ミリ弾を至近距離で撃たれた(防弾チョッキ装着)時のことをフラッシュバック。

どちらも一瞬で人生観が変わる強い衝撃だったことは間違いない。

ピアノの演奏の感動を「(実際に)銃で撃たれた時と同じ」って例えられる人って、日本ではこの人だけじゃないだろうか。

他にもヤクザの組長に「ピアノを習っている」と告げたところ、ヤクの検査をさせられた話も。(組長は本気で心配していたらしい)

作中、ぶっ飛んだワードが飛び出すも、作者がどれだけピアノに感動し、情熱を注いでいるかが伝わってます。

レイコ先生もまた、作者の技量と要望に合わせたレッスンを行ってくれます。レイコ先生の指導が本当に素晴らしくて。

音楽の楽しさって、本人の情熱と教師次第なんだなと実感しました。

この本『税金で買った本13』というマンガで知りました。ビブリオバトルの回で紹介されています。

著:ずいの, 著:系山冏
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