町名主の息子麻之助が、町内の揉め事を解決する『まんまこと』シリーズ。
4作目の『ときぐすり』では、傷心の麻之助がどうやって傷を癒していくかを、様々な事件を通して描かれます。
『ときぐすり』あらすじ
前回麻之助は、愛しい妻と子を亡くし、一時は目を離せない状態でしたが、今では以前の道楽息子に逆もどり。
親には嘆かれるものの、仕事をさぼって愛猫・ふにと遊ぶくらいまで元気を取り戻しています。
それでも時々、亡き妻の親戚の娘・おこ乃を妻と間違えてしまったりと、まだ傷は完全には癒えていないようですが…。
そんな傷心の麻之助の元には、傷を癒やす間もないほど、たくさんの事件が持ち込まれてきます。
幼なじみの清十郎が行方不明になったり、同じく幼友だちだった堅物の同心見習い・吉五郎に恋の噂、おまけに猫まで行方不明になり…。
ときぐすり
個人的には、これが一番好きな話です。町内で流行病があり、その後処理に負われる麻之助の前に、滝助という少年が現ます。
滝助は盗賊の下働きをしていた少年で、一味が散り散りになり、食べていくすべを探していたのです。
幸い悪さはしていないので、長屋で息子をなくした職人と、一人暮らしのばあさんに面倒を頼むのですが…。
「ときぐすり」とは「時薬(お坊さんの食事に関する用語)」を滝助が読み間違えたものですが、麻之助や長屋のものたちにも、時は新たな出会いを呼び、少しずつ哀しみを癒してくれます。
今回、可愛かったのは、頼まれて出稽古に行く吉五郎の婚約者の女の子が、まだ子どもだけれど、可愛らしいヤキモチをやいて吉五郎の外出をとがめるところ。
でも朴念仁の吉五郎は全然そんなことに気がついていないんです。なんとも愛らしい夫婦になりそうです。
ドラマ『まんまこと麻之助裁定帳』
NHKでドラマ化された『まんまこと麻之助裁定帳』。シリーズ『ときぐすり』の前半部分までがドラマ化されています。
福士誠治さんのひょうひょうとした麻之助、桐山漣さんのイケメン清十郎、趙珉和さんの男らしい吉五郎のトリオが痛快でかっこいいドラマでした。

