『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 吉田 篤弘

スープイメージ 料理・食べ物
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それからはスープのことばかり考えて暮らした」は「つむじ風食堂の夜」と同じく、舞台はどこか懐かしい雰囲気の町・月舟町。

町のサンドイッチ屋さんを舞台にしたおはなしです。


会社を辞めて月舟町に引っ越してきた大里くん。彼がマダムと呼ぶ大家さんから「オーリィ君」と呼ばれ、以来それが月舟町での呼び名になります。

時間がたっぷりあるオーリィ君は隣駅にある古い映画館「月舟シネマ」に通って古い映画を観たりして日々を過ごしています。

のんびりとした日々を過ごしていたオーリィ君ですが、映画館と同じくらい通い詰めているサンドイッチ屋さん「トロワ」のご主人、安藤さんに勧められ、「トロワ」で働くことになります。

やがて「トロワ」のサンドイッチにあうスープ作りを任されたオーリィ君は、それから毎日スープのことばかり考えて暮らしています。

おいしいスープとやさしい人々

安藤さん、大家のマダム、安藤さんの息子・リツ君、そして映画館でであった老婦人。時がゆるやかに流れる月舟町で、個性的でやさしい人たちとの交流とおいしいスープ。

読んでいるだけでちょっと気分がゆったりしてきます。

「つむじ風食堂の夜」よりもやや現実的な描写(携帯電話とか)がありますが、月舟町とそこに住む人々の時間はとてものんびりしています。

特に月舟シネマは時を忘れたような古い映画館で、私もポップコーンをかじりながら古い映画を観てみたくなりました。

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