電子書籍可の理由『世界でいちばん透きとおった物語2』杉井光

世界でいちばん透きとおった物語2 ミステリ・ホラー

世界でいちばん透きとおった物語2』は、電子書籍化不可能と言われた前作の続編。しかし、今回は電子書籍でも販売されている。その理由とは…。

『世界でいちばん透きとおった物語2』あらすじ

父親の残した原稿『世界でいちばん透きとおった物語』を発表した藤阪燈真。その後はミステリ作家となり、次回作に悩んでいた。

ある日編集者から「未完のミステリの解決案を推理して欲しい」と頼まれる。

コンビ作家・翠川双輔のプロットを担当していた菊谷が急死したため、現在連載は休止中。

燈真は遺族や相方の宇津木に話を聞き、彼の残した謎を探ろうとする。果たして、プロットは存在するのか、そして、その結末は…?

しかし、燈真が集めた情報から、旧知の編集者・霧子さんが示したのは意外な「答え」だった。

電子書籍化「可」の理由

果たしてこれ、『世界でいちばん透きとおった物語』なのだろうか…?ただ、主要な登場人物は同じだから続編ではあるんですが、トリックがまったく違うんです。

物質的なトリックだった前作と違い、今回は作中作の中に、また別のトリックがあります。

いや、これ以上書くとネタバレになるのでやめておきます。

正直、前回のように「あっ!」と驚くトリックはありませんが、読み応えのある、読了感の心地いい物語でした。

また、文章がミステリとは思えないほど詩的で美しいんです。

昼は陽光をいっぱいに浴びせ、夜が訪れれば月光を含ませて織り込み、やがて風をはらんで飛び立つまで見届けることができる。

物語が高く、高く、遠くへ飛び、地平に再び美しく降り立てるように

血みどろの死体や魅力的だけど自己中な探偵が活躍するミステリも好きですが、こうした「優しい」くて美しいミステリも良いものですね。

前作、電子書籍化不可能と言われた『世界でいちばん透きとおった物語』感想

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