『沖で待つ』絲山秋子

沖で待つ 日常系
沖で待つ

沖で待つ」を読んだきっかけは、恋愛と違う会社の同僚同士という絆に惹かれたたからです。
わたしは今まで中小企業でしか働いたことがないので、「同期」と呼べる人はいません。

会社の人間はみなライバルだと思ってたし、信頼する相手を作ることができませんでした。
気の置けない太っちゃんと主人公みたいな関係がうらやましいです。

著:絲山秋子
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第134回芥川賞受賞作品。

『沖で待つ』あらすじ

会社で気の置けない同期だった「私」と太っちゃんはある約束をする。それはどちらかが先に死んだらお互いのパソコンのハードディスクを破壊するというものだった。

その約束は思いがけず早く実現することになった。
太っちゃんが突然、事故で死んでしまった。「私」は、約束を果たすべく、前もって作った合鍵で太っちゃんの部屋に向かう。

同僚という関係

会社という組織でなければ成立しない関係。恋愛でもない、家族愛でもない、友情とも微妙にちがう。
しいて言えば同志、仲間みたいなものでしょうか。

相手にもよるでしょうが、同期に限らず会社の同僚というのは家族よりも長い時間を一緒にすごしているわけだから、家族とはまた違う種類の絆を結べるのかもしれません。

短編 勤労感謝の日

同時収録の「勤労感謝の日」は、近所のすすめで見合いをすることになった求職中の元総合職の女性の1日。
ムカつく相手との見合いを途中でばっくれ、後輩と飲みに行って憂さをはらす。
将来のビジョンもなく、いろんなことにムカついている女性です。

でも、不思議と嫌な気はしませんでした。人生をひねくれていてもどこかあきらめていないような感じがするからでしょうか。

これから彼女がどんな人生を歩いていくのか続きを読んでみたい話でした。

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