江戸川乱歩と杉原千畝。もしもこの二人が出会っていたら。『乱歩と千畝─RAMPOとSEMPO─』は、ミステリ好き、近代史好きな人ならぜひ読んでほしい一冊。
江戸川乱歩と杉原千畝
- 江戸川乱歩…探偵小説家。『屋根裏の散歩者』『孤島の鬼』など、怪しげな作品を世に残す
- 杉原千畝…外交官。リトアニア駐留中にユダヤ人にビザを書き、多くの命を救った
一方は怪しげな殺人(の話)を生業とし、一方は命を助けることを使命とした人。こんな真逆な二人がどうして友人関係になったのか。
そんな歴史のIFをモチーフに、史実に大胆に脚色を加えて二人の人生を描いていきます。
もともと二人は旧制高校と大学で同窓だったという史実はあるそうなので、そこから接点を作り出す設定が絶妙でした。
真逆の二人の奇妙な友情
最初、江戸川乱歩と杉原千畝と聞いて、ミステリやスパイ物かと思いました。(杉原千畝はハルビン時代にスパイのような仕事をしていたらしい)
ハルビンや満州時代の情報収集の様子は、まるで『ジョーカー・ゲーム』のようなスリルがありました。
でも、物語を通じて描かれたテーマは「奇妙な友情」なんじゃないかな、と思うのです。時に人生を動かすきっかけを与えられ、時にすれ違い、そしてまた出会っていく。
真逆にみえる二人ですが、生きづらい戦争の時代を、自らの意思を曲げず貫いたことは共通してるんです。
個性豊かな登場人物
『乱歩と千畝─RAMPOとSEMPO─』には個性豊かな当時の有名人たちが多数登場します。乱歩と交流があった岡本一平(岡本太郎の父)のほか、横溝正史や小栗虫太郎など。
他にも、当時の各回の著名人も数多く登場…するのですが、古関裕而とか、美空ひばりとかは強引だったかも。あと川島芳子も。
川島芳子は人生がドラマみたいな人なので、登場させると、どうしても物語が彼女に引っ張られてしまうんですよね。だから、あれくらいの量がよかったのかも。
乱歩がスクラップして作った自伝『貼雑年譜』には、『乱歩と千畝』に登場するエピソードが。
密航事件は本当に企てたんですって。
こちらは息子の平井隆太郎氏の解説つき。

