『フェルメールの食卓 暮らしとレシピ』は、フェルメールの生きた17世紀オランダの暮らしと風俗、料理から絵を紹介する、ちょっと変わった美術本です。
でも、画集のように難しい解説はありません。絵の中に描かれた服やインテリア、レシピなどからフェルメールの絵とその生活を解説しています。
生活の視点から見ると、アートがとても身近に感じられます。
フェルメールの暮らし
17世紀のオランダ・デルフトは貿易により発展した街でした。デルフトでは裕福な家庭の室内には絵や地図が飾られ、美しい装飾タイルが室内を彩っていました。
フェルメールの絵が小さいのは、室内装飾用だからだそうです。
裕福な女性たちは家の中でリュートを弾き、レース編みをしたり。台所を預かる女性たちは、固くなってしまったパンに牛乳を注いで料理をつくります。
フェルメールは高名な画家ですが、描くのはそうした人々の日々の暮らしです。
もっとも、絵の中で印象的につかわれるターバンや真珠の首飾り、鮮やかな黄色のガウンなどは「盛った」高級品らしいのですが。
フェルメールの食事
有名な『牛乳を注ぐ女』が作ったと考えられるのが「パンプディング」。
当時のオランダは水に乏しく、飲み物といえば牛乳かワインだったため、牛乳を使った料理は身近なものだったようですね。
固くなったパンに牛乳と卵を浸して焼き上げるパンプディング、美味しそうです。
その他にも目玉焼きをのせたトースト(ハムとチーズつき)、カキのシチュー、肉や魚のローストに、やはり牛乳をたっぷりとつかったプディングなど。
これらがとても美味しそう!当時のオランダの豊かさを感じます。フェルメールもこうした料理を食べ、生活を楽しみながら絵を描いていたのかもしれません。

