『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』は、「科学は決して万能ではない。」その事実をわかりやすく解説してくれる科学リテラシー本です。
科学は決して万能ではない
科学は本来哲学だった。何か「問い」があり、それらを解明するために科学という手法が用いられるようになった。
しかし、日本では完成された科学が輸入されたので、科学万能のイメージが強いのだとか。
逆転する仮説・地動説と天動説
今話題のアニメ『チ。―地球の運動について―』は、地動説に魅せられた人々の話です。この本でも地動説に至る科学の変遷が紹介されています。
地球が宇宙の中心であるという仮説に基づく天動説だと、惑星が逆行してしまう。(だから惑う星なんですね)
そこで、「太陽は地球の周りを回っているが、惑星は太陽の周りを回っている」といった仮説も登場しました。
天動説から地動説に至るまでには、試行錯誤があったのですね。
黒い仮説と白い仮説
黒仮説と白仮説、こんな風に書くと魔術のようですね。でも、実際に科学ではこういう表現をします。
黒い仮説…発表者以外、だれも再現できない。もしくは科学的に検証できない仮説
有名なところではIPS細胞が白い仮説、STAP細胞が黒い仮説だそうです。
白い仮説も常識の変化でひっくり返る
仮説は時代によって変化します。その例として取り上げられたのが1950年代、盛んに行われたロボトミー手術。
これは精神疾患の治療として前頭葉を切除するという、現在では非人道的な行為です。しかし、この医療法を発明した医師はなんとノーベル賞を取っています。
こうした過去の事例を紹介し、現在では非常識と思われている理論や仮説も、時代や状況が変われば180度ひっくり返る可能性があることを教えてくれています。
私達はすぐ、科学的根拠や権威を絶対的なものとして捉えがちです。(権威バイアス)でも、これらは単なる仮説にすぎないということを覚えておかなくては、いつ常識がひっくり返るか、わからないのですから…。
同じ著者のフェイクニュース時代の科学リテラシー超入門ではさらぬ、トンデモ科学(主に美容)のフェイクを見抜く科学リテラシーをわかりやすく解説しています。