前から読みたかった『バッタを倒しにアフリカへ』をようやく読了。面白かった!
『バッタを倒しにアフリカへ』では、博士の(バッタへの)異常な愛情と研究への情熱、そしてアフリカ・モーリタニアでの異文化体験。
それらを体験をわかりやすく、ギャグや流行フレーズを取り入れながら面白おかしく紹介しています。
博士の(バッタへの)異常な愛情
私は長崎バイオパークという動物園の動画を見るのが好きです。そこには時おり、動物への変態的とも言える愛情に溢れた飼育員さんが登場し「動物に踏まれたい♪」などと言い出すのです。
こうした専門分野の人の、飼育、研究対象への愛って凄まじいな…と思っていたら、この本の著者・前野 ウルド 浩太郎さんもそうした異常な愛情の持ち主でした。
まず、彼の行動原理は「緑色の服を着てバッタに食べられたい」なのです。何でも昔、バッタが緑色の服を植物と勘違いをし、服ごと食べてしまった話があるそうです。
幼い頃、それを聞いた前野さんは自分もバッタに食べられたいと願い、バッタ研究者の道へ。
しかし現実は厳しく、博士号を取ったとはいえ、就職先が無くバッタ研究を続けられない…。など数々のトラブルに見舞われます。
それにしても、博士号があっても研究ができないなんて、世の中世知辛いですねえ…。
アフリカでの悪戦苦闘
そこで、一念発起してアフリカ・モーリタニアへ。このバッタ研究所で2年間、サバクトビバッタの研究をするチャンスに恵まれます。
しかしそこは日本の常識が通用しないアフリカ。さまざまなトラブルが前野さんを襲います。
- バッタに夢中になりすぎてサソリにさされる
- 現地スタッフに多額の給料アップを要求される(実は2重取りされていた)
- バッタ研究の合間に研究したゴミムシダマシをハリネズミに食われる
- バッタ飼育用の大量の網が潮風で全滅
そして、最大の危機はなんと、研究対象の大量のサバクトビバッタが現れない!期限の2年を過ぎても研究が進まなければ無職まっしぐら!
無職のまま、バッタが現れるまでねばるか、それとも帰国か。人生の選択をせまられる前野さんの出した結論とは…。
アフリカでの体験は他にもいろいろあって、日本での常識が通用しない様子が面白いのです。
ウルドの名にかけて
「情は人の為ならず」といいますが、前野さんの行動はまさにこの言葉そのものです。
現地スタッフと親身に交流をはかり、ブログで人脈を作ることで、研究資金を得ることができたのです。
ミドルネームの「ウルド」は、前野さんの心意気を祝して、研究所のババ所長からもらったもの。
彼は、挫けそうになるとこのミドルネームに恥じないようにとバッタ研究に打ち込んだからこそ、道は開けたのでしょう。
続編『バッタを倒すぜ アフリカで』も楽しみです。