『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史 では、イスラム教の歴史、テロ、イスラム教徒とのつきあい方について、漫画『サトコとナダ』を例に解説しています。

仏教の宗派と似ている、さまざまなイスラム教徒たち
『サトコとナダ』の作者ユペチカさんによる、国ごとのイスラム教徒の姿が描かれています。
これによるとムスリム女性の体を覆うニカブやヒジャブをつけていない人、お祈りはできる範囲で、モスクには行ったことがないなど、イスラム教徒といっても実にさまざま。
同じ宗教なのにこの違い、なにかに似てる…と思ったら、日本の仏教に似てます。
仏教も宗派によってお祈りも修行もちがうし、滝行や断食をやる宗派もあれば、そういうこといっさいやらない宗派もありますから。

男尊女卑ならぬ女尊男卑?
『サトコとナダ』で、サウジアラビア人のナダからの情報は、日本人のサトコには驚くことばかりでした。
- 「モスクの礼拝は女性が後ろ」な決まりは男尊女卑なんじゃないのか
- ニカブやヒジャブなどの衣装は抑圧の象徴ではないのか
と考えるのですが…?
実はそれ「男は女性が前にいるとそわそわちゃってお祈りに集中できないから」というちょっとほっこりする理由です。
髪や体を隠す女性の衣装も灼熱の中東では理にかなった服装なんだとか。
ムスリム社会では女性は庇護すべき大事な存在である、らしいのです。
ただ、世の中、きちんと女性を大事にできる男性ばかりではないですからね…。
そうした家長制度の場合、女性が声をあげづらかったり、一人で働いて自立するのは(特に中東では)難しそうです。
ただ、地域によっては女性の社会進出も進んでいるらしいので一概に男尊女卑(あるいは女尊男卑)とは言えないらしいのです。
以前はそんなでもなかった…?イスラム教が注目された理由とは
今回驚いたのは、保守…というか厳格なイスラム教の教えに従うサウジアラビアも、50年くらい前までは黒いニカブを着てなかったらしいのです。
あと話題のハラル食も以前はそんなに厳密じゃなかったらしい。
移民先での迫害や戦争など、さまざまな困難にあったムスリムたちは、もういちど自分たちの原点であるイスラム教に回帰していったのだとか。
しかし行き過ぎた宗教観が、うっぷんを晴らすテロ行動に結びついてしまうこともあり…。
『サトコとナダ』でもサウジアラビアのイスラム教徒の風習や習慣について語られます。
ちなみにイスラム教徒のナダは「お母さんと同じ格好がしたい」からニカブをつけたかったのですって。
