『成瀬は都を駆け抜ける』宮島未奈

成瀬は都を駆け抜ける 小説感想

成瀬シリーズいよいよ完結!『成瀬は都を駆け抜ける』では京大生となった成瀬が京都で出会う人々と「京都を極める」物語。

そしてもちろん、大津や膳所のお話も!

京大文学と成瀬

京大と聞いて思い出すのはやはり、森見登美彦や万城目学の小説。そんなディープな京大文学の世界をと成瀬の世界は交錯するのか?

と思って読んでいたところ…ありました!

森見登美彦作品を好む「達磨研究会」なるサークルが登場。でもやってることは屋外で炬燵に入り、鍋を囲むくらいなのですが。

会長は森見作品に登場する「黒髪の乙女」のような女性をお近づきになりたいけれど、女性が苦手。新入生・梅谷が乙女探しを手伝うことになり、見つけたのが成瀬だった。というストーリー。

京大小説のファンタジーさを残しつつも、成瀬らしい展開になっていました。

成瀬の「京都を極めたいと思っている」に対し、会長が「不可能ではないか」と言ったことに対し、成瀬はこう答えます。

みんなは『極める』という到達点に注目するのだが、わたしはそこに至る道が重要だと思っている。ゴールにたどり着かなくても、歩いた経験は無駄じゃない。

そうやって成瀬はチャレンジしたところから、また新たな道を見つけていくんですよね。

哲学の道をみんなで歩いた夜はきっと、あとで忘れられない思い出になるんだろうな。

琵琶湖の水は絶えずして

最後の『琵琶湖の水は絶えずして』だけは大津のお話。びわ湖大津観光大使最後の役目、琵琶湖疏水船のイベントに、ある事情で参加できなくなった成瀬。

そこで、幼なじみである島崎に代役を頼むのですが…。

琵琶湖疏水は、京都と滋賀をつなぐ水路。疎水船で京都から琵琶湖へ渡ることができます。水路を渡るときの風景が素晴らしくて、疎水船、ぜひとも乗りたくなりました。

京都と滋賀をつなぐ琵琶湖疏水のように、成瀬も京都と滋賀を、あるいは人と人をつなげていくんですね。

文字通り「駆け抜け」ていく成瀬と、かたわらを並走する幼なじみの島崎の物語はきっと、これからも続いていくのでしょう。二人とも、長生きしてね。

宮島未奈作品感想

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