畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズ。
今までにない「おもしろ妖怪ファンタジー」といったところでしょうか。挿絵の妖(あやかし)たちも、かわいらしくてユーモラス。
江戸でも指折りの商家・長崎屋の若だんな一太郎と、彼をとりまくたくさんの妖怪。それと、人間達のものがたり。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。
『しゃばけ』あらすじ
主人公の若だんなは、利発で心優しい若者だけれど、人一倍どころか、二倍も三倍も体が弱く、寝込んでばかりいる。
幼い頃、そんな若だんなを心配して、若だんなのお祖父さまが佐助と仁吉というふたりの兄やを守り役にと連れてきた。
実は、このふたり、「犬神」と「白択」というれっきとした(?)妖(あやかし)。そのほかにも家をきしませる小鬼の鳴家(やなり)や鈴彦姫、屏風のぞきなど、様々な妖(あやかし)が若だんなのそばに集まる。
なぜか若だんなは人ならぬ妖(あやかし)の姿が見え、話をすることができる。
それには若だんなも知らない、ある「秘密」があるのだが…。
『しゃばけ』とは
『しゃばけ』とは「娑婆気」、世俗的な名誉や利益から離れない心だそう。
みんな誰しも心の中に鬱屈を抱えています。若旦那は病弱で役立たずの自分が周囲から過分の愛を受けていること。
友人の栄吉は菓子を上手く作れず、親たちから呆れられていること。そして、人を殺してまで「薬」を手に入れたいと思うあやかしが欲しいのは「命」。
それぞれの心の中に「しゃばけ」があるのです。
江戸のミステリファンタジー
若だんなの周りにユニークな妖怪たちが集まるだけでなく、そこに事件が起こり、それを若だんなが解決してゆくストーリーになっています。
ファンタジーでありながら、ミステリでもある『しゃばけ』。若だんなは体はめっぽう弱いですが、知恵が働き、安楽椅子探偵のような役割なんですね。
人に見えないあやかしは家の中を探せるし、人に化けられるあやかしは聞き込みができるから譲歩収集もできるから、寝込んでいても謎がとけるんです。
ユーモラスで少し怖い、あやかしたち
『しゃばけ』のあやかしたちはユーモラスであまり怖くはありません。でも、人間とはちょっと感覚が違うので、そこが怖いところなのかも。
佐助と仁吉は若だんな至上主義だから、ほかがどうなっても関係ないって思っているし、他のあやかしたちもズレているので若だんなが苦労するんですよね。
そこがまた、面白いのだけど。
Audible版しゃばけ
Audible版『しゃばけ』の朗読は中村隼人さん。すべてのキャラや妖怪の演じ分けに感動。
大河ドラマ『べらぼう』で「中村隼人の鬼平はなんか違う…」と言ってしまい、すみませんでした!朗読素晴らしかったです!
Audibleは「気になってたけど読んでなかった本」がたくさん聞けて月1,500円。単行本一冊の値段で何冊も楽しめます。

