『団地メシ!』は、おばあちゃんと孫娘が団地を訪ねて、美味しいものを食べるだけお話。でもそれが良いんです。「ゆっくりでいいよ」と言われているようで。
作者は『団地のふたり』の藤野千夜さん。
成長も変化もゆっくりでいい
主人公の花は高校に馴染めず、辞めてしまったけれど、周囲は何も言わず花はおばあちゃんの家に行ったり、お出かけをしたりして過ごしている。
ふつうの小説だと、こうした散歩の間に主人公がやりたいことを見つけ、成長していくものよね。ですが、『団地メシ!』ではそれが無い。
多少の変化や成長の兆しはあるものの、基本的におばあちゃんと花が首都圏近郊の団地を散歩して、団地のお店のごはんを食べるだけ。(それがとても美味しそう!)
変化がない。でもそれがいい。きっと、私たちはという同調圧力の呪いによって「成長しなければならない」と思い込んでいたのだと思う。
でも、そんなにすぐに、人生の目標なんて見つけられるわけがないんだから。
藤野千夜さんの小説は、そんな行き急ぐ私たちに、「立ち止まってもいいんだよ」と気づかせてくれるのです。
