『あしながおじさん』の続編『続あしながおじさん』は主人公ジュディの親友・サリーが、ジュディの育ったジョン・グリア孤児院の院長となり、奮闘する物語。
『あしながおじさん』と同じく、サリーのジュディへの手紙形式で描かれます。
サリーの仕事と自立をテーマにした孤児院での日常が中心ですが、実はラブストーリーでもあります。
※ネタバレを多分に含みます
『続あしながおじさん』あらすじ
評議員のジャービスに推薦され、新しくジョン・グリア孤児院の院長になったサリー。
預かった改革資金で食堂を明るく改装したり、ジュディが大嫌いだったギンガムチェックの服を追放したりと様々な改革を行う。
南の島へ行ってしまったペンデルトン夫妻。(この時点でジュディとジャービスは結婚している)彼らの代わりにサリー院長のパートナーとなるのは陰気なドクター、ロビン・マックレイ先生。
ことあるごとに対立するこの陰気なドクターにサリーは『Dear Enemyーわが敵さま』とあだ名をつけてからかう。
(Dear Enemyーわが敵さまは、続あしながおじさんの原題)
しかし孤児院の仕事で一緒にいる時間が多くなると、ドクターが意外にも文学好きなことや、人をひきつける面を持っていることに気づきはじめ…。
ツンデレ医師と若手政治家との三角関係…!
けれど、サリーにはゴルドン・ハロックというちょっと自意識過剰な政治家の恋人がいました。ある日サリーはゴルドンから「孤児院を辞め、すぐに結婚してほしい」と性急なプロポーズ受けます。
しかし、玄関先で人の目を気にしたサリーはプロポーズをごまかそうとします。
それを「NO」ととったゴルドンは、ドクターのせいだと勘ぐり、彼の悪口をまくし立てます。
サリーは売り言葉に買い言葉で「ドクターのことなどちっとも好きではない!」と言ってしまい、するとそこに運悪くドクターがやってきて…。
ずいぶんと昔の小説なのに、三角関係のドラマのような展開です。このあと2人はどうなるかというと…。
ドクターは何事もなかったようにサリーに接するんですが、ある日、孤児院から働きに出していたトーマスがアルコール中毒で帰ってくる事件が起こります。
サリーはすぐにドクターを呼び、夜通しトーマスの看病に当ります。症状が安定した後、今までの感情が一気に吐き出されたようにドクターがサリーを抱きしめ、
「ああ、サリー、あなたは私が鉄でできているとでも思っているですか?」
キャー!
実はドクター、ずっとサリーのことを思っていたのです。でも、ドクターにはいろいろな事情があって自分から好きだなんていえなかったのです。ましてやゴルドンみたいな彼氏つきですし。
そんな不器用なドクターが始めてみせた愛情。この言葉を振り絞るためにどれだけ勇気がいったのでしょうか…。
でも、翌日はまたいつもの陰気さを発揮してサリーに接するというツンデレっぷりですが。
このまま少しずつ二人の距離が近づいていくのかと思いきや、大事件が発生します。ジョン・グリア孤児院が火事に!
幸いほとんどの子供たちが無事でしたが、たったひとり取り残された女の子を救うため、ドクターは火の中へ飛び込んでしまうのです…果たしてドクターの運命は…。
孤児院の厳しい現実
ラブストーリーに隠れてしまいましたが(いやこっちが本筋なのだけど)、20世紀初頭のアメリカの孤児院事情にも触れられています。
『あしながおじさん』ではジュディは成績優秀だったので大学に行けました。でも、孤児は高校を卒業したら社会訓練も行われぬまま、世間に放り出されるのです。
サリーは外の世界を知らない子どもたちのために、買い物で金銭感覚を養ったり、院内の服を子どもたちにつくらせて裁縫の腕を磨かせたり、様々な改革を行います。
しかし、この孤児院の実情、100年前の話と思っていたら実は現代でも同じなんです。
児童養護施設を舞台にした有川浩先生の『明日の子どもたち』。
この本によると、現代日本でも、高校を卒業した時点、あるいは高校進学しなければ中学卒業時点で養護施設を出なければならないそうです。
日本版あしながおじさん『Daddy Long legs』
「あしながおじさん」を昭和初期の日本に舞台をうつした勝田文さんの漫画『Daddy Long legs』。あしながおじさん側の視点から描かれます。
登場人物は原作の名前をもじった日本名で、ジュディは樹、サリーはさえちゃんとです。
「さえちゃん」を主人公にした『Dear Enemyーわが敵さま』の漫画版も読んでみたいです。

