『店長がバカすぎて』早見和真

店長 お仕事

店長がバカすぎて』が面白すぎる。書店員のリアルな日常が、非日常なキャラクターで描かれていて、涙と笑いと、少しの謎解きがある書店エンタメ小説の傑作。

ただ、店長は「バカ」というより…。

著:早見和真
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※感想に一部ネタバレあります。

『店長がバカすぎて』あらすじ

先輩書店員小柳さんの書くポップに感動して、武蔵野書店の契約社員になった谷原京子。しかし、小柳さん突然退職。

絶望に打ちひしがれる京子に、さらなる追い打ちをかけるトラブルが続出。おまけにその原因はたいがい店長だ。

それでも新しい出会いがきっかけとなり、京子は日々のトラブルに翻弄されながらも、少しずつ前に進んでいく。

書店員のリアル

店長がバカすぎて』の読みどころは、なんといっても書店員のリアルな日常です。

良い作品をお客様に届けたい。そんなやりがいとプライドを持つ谷原さんですが、書店員の仕事は報われないことばかり。

カスハラ、マンズプレイニング、出版社からの報奨金という名の雑誌販売強要。

おまけに店長は面倒な仕事ばかり持ってくるし、まるで昭和の土建屋のような酒癖の悪い社長のパワハラも目に余る。(だいたいなんで、そんな奴が書店経営なんてやってんだ!)

コミカルに書かれているけれど、読んでいて胸が痛かったし、もっと報われてほしいとも思いました。

社長が参加するのど自慢大会の元ネタって多分これ。この番組、後ろで応援している社員の目がうつろなのが切なすぎると一部で有名です。

店長がキモすぎて

「バカ」という言葉は、時にユーモラスで親しみを感じる言葉ですが、『店長がバカすぎて』の店長、は「バカ」というより「キモい」に近い感覚を覚えました。(あくまで個人の感想です)

だってこの店長、人の気持ちがまったく理解できないんですよ!谷原さんが悩んだり怒ったりするのに、その原因が自分だとわからない。

それどころか、トンチンカンな対応で彼女を窮地に追い込んでいくのです。例えるならO・ヘンリの『魔女のパン』の妄想主人公みたいな。

しかしそのトンチンカンな行動が時に功を奏して、谷原さんを(少しだけ)救うことにもなるのですが。

同じく書店小説『遅番にやらせとけ』の登場人物・庄野さんも仕事ができない人でした。でも、彼は遅番たちを導く力を持っていて好感が持てたんですけど。

しかし、こちらの店長は自己啓発本を何冊読んでもリーダーシップは皆無。

だから後半、谷原さんが店長に惹かれていくところは、正直「なんで?」と思いました。だって、谷原さんが店長に惹かれるような直接的なことが起きてないんです。

結局私は、最後までこの店長のことを好きになれませんでした。

書店員のリアルを描いた物語全体はすごく面白かったのだけど…。

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