『ちょいな人々』 荻原浩

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日常におこる、ささいな、でも本人たちにとっては重大な事件に翻弄される人々を描いた短編集『ちょいな人々』。人ってバカだなぁ。でも面白いなぁと思える作品です。

登場人物たちは自分に降りかかる事件に一生懸命に対処するんですが、時に裏目にでたり、予想もつかない方向に物事が進んで行ったりします。

著:荻原 浩
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いじめ電話相談室

一番印象に残ったのは「いじめ電話相談室」です。

いじめ電話相談室にかかってきた自殺したいという女の子の電話。

自らもいじめ体験をもつ相談員の聡子さんは、女の子に大胆ないじめ対策をさずけます。けれども聡子さんの活躍を妬んだ他の職員から今度は聡子がいじめにあうことに…

聡子さん自信も、いじめ相手をかく乱するのがかっこよかった。しかし、職場の元校長の相談員のいじめにはほんと腹が立ちました。
聡子さんの仕事をうばったり、持ち物をかってに持っていったり。大人の方がやり方がえげつないなんですね。
飼っている水槽の魚のなかにもいじめが出てくるのも印象的でした。

ママの狙撃銃』のように、いじめ相手に銃口を突きつけるのはちょっと問題ですが、時には断固として立ち向かうことも大事なんですね。

こっけいで一生懸命な人々の話

こういっては失礼だけども、読んでいる側からすれば滑稽でおもしろい。そんな短編集です。どれもこれもユーモアの中に「毒」が仕込まれていて、読むと思わずニヤっとしてしまうのです。

・女子社員に私服をほめられ、その気になって会社のカジュアルフライデーに着る服を買いあさるサラリーマン。(ちょいな人々)

・ガーデニング好きの主婦と、隣の老人。お互いの庭をめぐる壮絶バトル(ガーデン・ウォーズ)

・不運続きの占い師に、ある日突然変化がおとづれる(占い師の悪運)

・あるおもちゃ会社開発したペットの気持ちがわかるスーツ、犬猫完全翻訳機、そこには飼い主の希望とは逆に、ペットたちの意外な「本音」が…(犬猫完全翻訳機)

・犬猫完全翻訳機で失敗した会社。ワンマン社長がしょうこりもなく作り出した音声メール機能付き携帯電話。音声でメールが打てるのは便利なものの、送信者の本音がメールに反映されるようになり…(本音メール)

・タイガースマニアの彼と巨人ファンの父。結婚の申し込みがいつの間にか野球観戦に…(くたばれタイガース)

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