世界のトンデモ料理を記した『世界寄食大全 増補版』では、一部の地域でしか食べられない珍しい食材、食べ方を紹介しています。
個性豊かな寄食たち
「寄食」は、その土地の風土や文化に影響をうけるため、他の地域の人がみると「異様」とも思える料理が数多く紹介されています。
たとえば、日本人がイルカやクジラを食べると「野蛮」と呼ぶ欧米豪では、うさぎやカンガルーなどかわいい動物を食べます。
こうした「食の偏見」は、その土地の風土と宗教的なタブーと関連するのでどれが正しいとは言えないでしょうね。
土と糞
この本で私が最も衝撃をうけた寄食が「土」と「糞」です。「土を食う」なんて異様な気がしますが、実は土にはミネラルや亜鉛が多く含まれるため、古くから世界各地で食べられてきたのだとか。
妊娠中に土壁が食べたくなる、という話も聞きますね。
そういえば、昔読んだ江戸の大飢饉漫画でも植物や人間(!)を食べ尽くした後に「土がゆ」を食べる記述がありました。
そして「糞」。長野県の料理「おたぐり」は馬の腸を煮込んだ料理で、調理法によってはかすかに馬糞の臭いがするそうですが、通はさらに調味料として追糞をするそうです。
そういえば香水などでも少し悪臭を入れることで良い香りの調合となるそうなので、臭さも突き詰めるとおいしい調味料になるのかも…。
寄食の聖地・愛知・長野
作者によると日本の中で寄食が多いのが愛知と長野、中部地方に多く見られるのだそうです。
山に囲まれ、動物性たんぱく質が不足した長野では昔からザザムシ、イナゴなど昆虫食が盛んに食べられていました。
かくいう私も長野に近い群馬県出身なので、小さい頃はハイキング代わりに家族でイナゴ取りにでかけ、イナゴの甘露煮を食したものです。
見た目がアレなので、足だけをちびちび食べていましたが…。(味は美味しいです)
一方、「甘口イチゴスパ」など、奇妙な料理を次々生み出す愛知。
ひつまぶしや天むすなど、新しく美味しい料理もある一方、「パイン茶漬け」「イカ墨ドリンク」など珍妙な料理が生み出されるのもまた愛知。
作者はこれを、三英傑(信長、秀吉、家康)のような時代の先駆者を産んだ気質によるものでは…と考察しています。
確か徳川家康は当時新しい料理・天ぷらの食べすぎで死んだという説もありますし、あながち間違いではないかもしれません。
物語の中の架空の料理、作家の料理エッセイ、歴史の中の料理など。

