梅佳代さんの写真集『ウメップ』を見るとくすっと笑えます。そして、「日常って、案外面白いことあるんだな」と思えるのです。
変顔の子どもたち、自由な老人たち
ウメップでは、人物の自然で面白い表情が絶妙なタイミングで映されています。まず、表紙の写真。お化け屋敷でしょうか。暗い部屋で泣き叫ぶ子どもたちがいます。
本人たちはメチャクチャ怖いのでしょう。でも、見ているこちらはついつい、笑顔になってしまいます。
ほかにも、より目をしたり、ガニ股でピースをするなど、変顔、変ポーズをとる子どもたち。おいおい、それ将来、黒歴史になるぞ…と心配しながらも、やっぱりついつい笑ってしまいます。
そして、自由なのが老人たちです。
お寺の門の前で、なぜかえびぞりポーズのおじいさん、彫刻の胸を思わず触ってしまうおじさん。疲れたのか、石のベンチの下に足を投げ出し、そのまま地べたに座りこんでいるおばあさん。
彼らの見せる姿は哀愁とユーモアに満ちています。
笑える風景
梅佳代さんは、日常に潜む笑いを見つける天才です。パチンコ屋の看板、最初の文字がかくれている構図や(なんて読むかはご想像におまかせします)、多頭飼いの散歩で紐が飼い主に巻き付いているところ(これは解けるんだろうか…?)など、写真を見るとついつい、笑ってしまいます。
「レ」の形に折れ曲がった二本の、犬の置物の上に載せられた延長コード(また、この犬の表情がいいんです)…。
我々が普段見逃している風景の中にも、梅佳代さんは人生の喜びとおかしみを見出し、それを私たちに写真という形でみせてくれるのです。
ほんとうに、梅佳代写真を見ると、日常って面白いなと思います。