『星間商事株式会社 社史編纂室』 三浦しをん

同人活動イメージ コメディ

社史編纂室という部署は、果たして実在するのだろうか。

「社史編纂室」とは、閑職の代表格としてドラマや小説などではたびたび登場する部署。しかし、その存在はもはや都市伝説の域に片足をつっこんでいる気がします。

著:三浦 しをん
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『星間商事株式会社 社史編纂室』あらすじ

そんな「謎」の社史編纂室を舞台にした「星間商事株式会社社史編纂室」です。 キーワードは「社史編纂室」「会社の過去の不正を暴く」「腐女子」。

一見、脈略のないこれらの要素が、どうやってつながっていくかというと… 主人公の幸代は「腐女子」で、同級生3人で同人活動を続けている。

社編は同人活動に最適な閑職のため自ら志願してきた。他のメンバーも失敗や左遷で部署を異動になった人ばかり。

ある日、会社でイベント用にコピーをしていたBL小説を課長に見られてしまう。その日から社史編纂の裏の目的である会社が過去に行った不正を暴く作業に巻き込まれることになる。

星間商事は過去、東南アジアの小国・サリメニでの受注工事に関して、伏せておきたい事実があった。 次々と明かされる過去。謎の原稿用紙… はたして幸代は過去の真相に迫れるのか?

腐女子のリアルな日常

同時に間近に迫ったイベントの原稿は間に合うのか? こんな風に書くとサスペンスっぽいですが、どっちかといえば恋愛小説です。そして腐女子の結構リアルな日常をうまいこと描ききったのはすごい。

ちょっと特殊に見られがちの腐女子ですが、将来への不安と同人活動のはざまで悩んだり、結婚を期に同人を辞める友人へ寂しさをつのらせたりするのは、普通の女子と変わらないんですよね。

物語の途中に主人公が書いたBL小説や、他の人が書いた文章が掲載されているのも面白かった。ちょっとウエイト多すぎだけれど。

三浦しをんさんの初期作品では、ご本人の趣味でもあるBLがよく登場しますね。古書店を舞台にした『月魚』なども、完全なBLでしたし…。

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