『ホルモー六景』万城目学

ホルモー六景イメージ ファンタジー
ホルモー六景イメージ

「ホルモー六景」は「鴨川ホルモー」の外伝的な短編集。
プロローグで安倍君が高村君に「ホルモーに携わる人の数だけ、いろいろあるだろう。」と語っていた通り、今回は京大青龍会以外の大学の面々やOB、OGら「ホルモー」にかかわる人々の恋と友情の物語です。

長くなるので、気になったところだけ抜粋。

同志社大学黄龍陣

ホルモーのベースとなる陰陽道には青龍、白虎、朱雀、玄武のほかにも方位が存在する。中心を表す方位・黄龍。
ほろびてしまった「黄龍陣」が偶然にも復活を果たすまでのお話。

京大青龍会の芦屋の元カノ・巴は一年浪人の末、念願の同志社に入学。ひょんなことから「horumo」と書かれた古い英文の手紙をみつける。

どうやらそれは、現在同志社である京都の旧薩摩藩で行われたものらしい。

見えない糸に引かれるように巴は「復活ニカンスル三条件」を果たすべく、たまたま居合わせた元彼・芦屋と神社に向かう。しかし、残りの2条件がまったくわからなかったのだが、実は偶然にも条件は満たされており、巴も知らないうちに「黄龍陣」は復活を遂げる。

ほんと、芦屋って最低男だな。自分から誘っておいて彼女に見つかったのを巴ちゃんのせいにしたりして。巴ちゃん、こんなヘタレは叩きのめしておやんなさい。

丸の内サミット

ホルモーにかかわったOB、OGの後日談。ホルモーにかかわるとその後も「オニ」がみえるものらしい。在学中、名勝負を繰り広げた井伊直子と榊原康は東京で働いていたが、偶然友人の紹介で再会することに。

学生時代とは違い、うちとけて話すようになった二人だが、空中を漆黒の「オニ」が出現したのを目撃し、発生源をつきとめようとするのだが…

そしてなぜか、黒ずくめの「オニ」を管理しているのが東京でのホルモー競技者たちらしい。そして「黒オニ」の発生は最高の守護神にして、たたり神である「あの神様」がかかわっているらしい。

東京でもホルモーが続いているのは驚きでした。

長持ちの恋

「鴨川ホルモー」のエピローグでちょんまげ男・高村と付き合うことになった立命館白虎隊の会長、細川珠美。

彼女がアルバイト先の料亭「狐のは」の蔵で見つけた長持ちには「なべ丸」と書かれた板きれが入っていた。思わず手が動いて板にあだ名の「おたま」と書きつける珠美。こうして時空を超えた不思議な文通が始まった…。

実はなべ丸は織田信長につかえる小姓で、本能寺の変のとき討ち死にしてしまうんですが、それを知って珠美は必死に止めようとします。珠美の思いに打たれたなべ丸は、いつかきっと会いに行く。その時には「しるし」をつけてゆく。と書き残す。はたしてそのしるしとは…

過去の人間と文通をするというのは、他の本でも読んだことがあったのですが、やはり切ないですね。相手は過去にいて会うことはできないんですから。でも今回はちょっとかわいらしい展開でおわってよかった。空気読めないけど真摯な高村君もいいやつでした。

今回は「鹿男あをによし」に登場した料亭・「狐のは」もが登場。あそこは「鹿男」でもわりと重要なところなので、今後もでてくるのでしょうか。

もっちゃん(ネタバレ)

途中まで現代の安倍君と友達の話かと思いきや、実は大正時代の「安倍君」と作家梶井基次郎との交流の話。
うまいことだまされました。「講和会議」だの、「女学生」だのとヒントはあったんですが。

大正時代の安倍くんもホルモーにかかわっていたらしい。現代の安倍君となにかつながりがあるんでしょうかね?時代的にはひいじいさんくらいかな。

芥川龍之介の小説「鼻」に興味を示していたところをみると大正時代の安倍君も鼻フェチらしい。

著:梶井基次郎
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