死にカタログ 寄藤文平

面白本イメージ 面白本
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死にカタログとは、なんとインパクトのある言葉なんでしょうか。

「大人たばこ養成講座」など、ユーモラスなイラストレーター寄藤文平さんが描く『死にカタログ』。死亡原因の統計や世界の「死後の世界」について、ユーモラスなイラストで紹介しています。

人間、だれしも死亡率100%。そんな怖い、できれば見ないで済ませたい現象を独特のイラストでわかりやすく、時にユーモラスに「死」について解説されています。

決して宗教っぽくない。むしろ宗教的なの視点と、科学的な視点、両方を同じ土俵に上げて紹介しています。そこにちょっとした笑いが生じて、親しみやすく読めてしまうのです。

著:寄藤 文平
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世界の死にカタログ

死への捉え方は、「魂が抜けて霊になる」など、全世界で共通する認識と、地域や民族で違った認識があります。そんな全世界の「死にカタログ」を見ていると、地域や宗教の特徴がみえてきました。

死んでも戦う(北欧神話)

世界各国の死後の世界の紹介で、北欧神話では、ヴァイキングたちは戦で死んでからも、オーディンのいるヴァルハラで戦争を続けるらしい。そのページの下に小さく「文科系の人間にはツライ」というようにツッコミが入れられているのも面白い。

SF『銀河英雄伝説』でも、死後の世界の設定として「ヴァルハラ」が登場します。戦争に行くときに士官同士が「ヴァルハラで会おう」と言うんですよ。

銀河英雄伝説の登場人物は、宗教的に天国を信じているわけではないのですが、ひとつの合言葉のような感覚で天国をとらえています。

近所の島に行く(パプアニューギニア)

パプアニューギニアでは、死んだら近所の島に行き、もう一度人生をやり直し、年老いたら脱皮(!)して新しい命となってもとの島にもどる。

仏教の輪廻転生に似ています。

いなかったことにする(ジプシー)

ジプシーの中には、死んだらその存在そのものを「なかったことにする」という考え方があります。思い出も語らないし、遺品も残さない。一見、残酷な考え方ですが、見方を変えると「誰も死なない」社会といえるかもしれません。

死への向き合い方

死にカタログ・仏教のイメージ
仏教のイメージ

死についての態度も、認めない、あきらめる、怖がるなど、その対応はさまざまです。あきらめてしまいがちなのは日本人に多い傾向なのだとか。

寄藤文平さんは、死の向き合い方について「ちょっとずつ(人生を)折りたたんでいく」「死の方から自分を振り返ってみる」と考えています。

忘れるのではなく、時々見返してその時に備えていくという感じでしょうか。

まとめ

しかし、この本を読んだからといって、死が恐くなくなるかといえば、そう簡単にはいかないでしょう。だって読んだ後でも怖いもん。

だけど、ちょっとだけ安心できます。それは、死を図案化して解説してくれているからだと私は思います。

そして、この本の中で、いちばん自分がしっくりいく「死のありかた」を信じればいい。
今までなかった一番カンタンな「死」の解説書。

将来、死にゆく時は、聖書や経典ではなく、この本を携えてあの世に行きたいものです。

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