家の声が聞こえる能力をもつ守人としゃべる家・月光荘との交流を描いた『菓子屋横丁月光荘 金色姫』。今回は孤独だった守人に新しい出会いが訪れます。
しかし、一方で大事な人との別れも…。
タイトルの「金色姫」は姫の体から蚕が生まれた神話から。物語を通じて養蚕の歴史と、不思議な家の世界が語られます。
繭玉飾り
友人田辺の祖母・嘉代さんも家の声を聞ける人。そのため守人は時おり嘉代さんの家を訪れていた。
ある時、知人の宿で繭玉飾りのイベントがあることを知った守人は、田辺と嘉代さんたちを誘うことに。
近頃めっきり弱ってしまった嘉代さんだが、繭玉づくりを楽しみ、家で育てていた蚕の話を思い出してうれしそうだった。
もち米を練って枝に飾る「繭玉飾り」は、お正月にお店などでよくみかけます。
今は行事ですが、昔は豊作や養蚕の願いを込めた神事だったんですね。
金色姫
知り合いの建築士・真山さんから守人の親戚を見つけたと連絡が入る。
はとこの由孝は川越の郊外・霞ヶ関にいるらしい。しかし、守人は悲しい記憶ま引き出されそうで、思わずためらってしまう。
周囲のすすめもあり、後日、由孝やその両親と再会。
祖母の様子が判明する。両親の死後、病魔に侵された祖母は守人を手放し、自身の病気のことも告げずに亡くなったのだった。
今まで孤独だった守人でしたが、おばあちゃんも周囲の大人も、ずっと守人の幸せを願っていたんですね。
桜のあと
無事、修士課程を修了した守人は、恩師の木原先生にも報告。親戚が見つかったことを報告すると涙ぐんで喜んでくれた。
その後、守人は田辺から嘉代さんの具合が悪くなったと知らされ、見舞いに行く。
するとそこで、繭のような世界に入って両親や祖母と再会。
その事を嘉代さんに話すと、繭のような「家の世界に行けばみんないっしょにいる」、だから怖くないと話してくれる。
嘉代さんは孤独だった守人にとって、同じ能力を持つ仲間であるとともに、導き手でもあるんですね。
ー親しい人に相談してもなんともならなかったのに、見ず知らずの人のひとことで急に目の前がひらける
守人や周囲の人にやさしい恩恵をもたらした嘉代さん。
静かに広い世界へ旅立っていきました。別れは悲しいですが、家の世界は広く、そこでまた会えるのかもしれません。
