時にSFは未来を写します。SFで描かれた未来は実現化する一方、過去のSFには当時の差別意識が垣間見られ…。
百年前の未来予想
100年前の日本で行った未来予想はほとんどが実現しています。新幹線やスマホ、女性の社会進出などがあたっています。
新幹線の予想では、東京ー大阪間の所要時間までかなり当たっています。
また、SFというのは未来の予想であるとともに、その当時の社会情勢を描き出しています。過去、SFが社会をどう捉えてきたのか、この三冊で見てみると…。
ジェンダーフリーがSFだった頃
『ねらわれた学園』の作者・眉村卓が描くSFショートショート「ポケットのABC」
内容はタイムマシンや宇宙人、未来人といったSFらしい設定ものから、日常に起こるちょっと不可思議な出来事が描かれています。
私が興味深かったのは『テリカさん』という短編。40数年前のジェンダー差別の実態を見せつけられた話でした。
『テリカさん』(1982年)
主人公の働くFM局にアルバイトのテリカさんという女性が入ってくる。テリカさんはすごく優秀で、周りの男たちなど足元にも及ばない。
実は彼女は未来人で、過去を調べて論文を書くために来たのだという。テリカさんの住む未来では男女差別はなく能力のみで評価される。
テリカさんは女は女らしく、男の一歩後をついていく時代に不便を感じながら未来に帰っていく…。
という話なのですが、この話が書かれた40数年前は、まだまだ女性が仕事をするのは大変だったのだなあと感じました。
現代でもまだまだ女性差別はあります。でも『テリカさん』が過去よりは、少しましになってきたかな。まだまだですけれど。
人種差別が日常だった頃
こちらは人種差別がSFで描かれていた頃のお話。
衝撃だったのは、フレドリック・ブラウンの『未来世界から来た男』とレイ・ブラッドベリの『火星年代記』の中の短編『空のあなたの道へ』です。
1950年代に書かれているので、当時のシビアな社会背景が反映されています。そして、今では考えられないようなオチとなっています。
未来世界から来た男(1951年)
1950年代、ある白人家庭に未来人がやってくる。ハンサムなその男に、妹はすっかり夢中になり二人は恋仲に。
しかし、男が自分の出自を話した途端、突然兄はショットガンで彼を撃ち抜いてしまう。
まるで『ウミガメのスープ』のような謎解きのネタバレの裏には、有色人種差別が根底にありました。
『火星年代記』(1950年)
火星の探検から、移住、その終末に至るまでを綴った『火星年代記』。誰しもが火星への移住が可能になった時代。
「彼ら」もまた、徒党を組み火星を目指します。引き止める者、借金で縛ろうとする者、借金を払い、自由にしてやる者。
「彼ら」とは誰か。聡明な皆様ならもうおわかりでしょう。調べてみたら、新版ではこの章は差し替えられているそうです。
ひと昔前からみたら、今の世の中は大分恵まれています。しかし、レイシストな国の代表が増え、世界が分断する問題も残っています。
そんな中で現代のSF作家は、どんな未来を書くのでしょうか。

