『菓子屋横丁月光荘 浮草の灯』では、孤独だった守人が家の声をきっかけにして、川越の人々と縁を深めていきます。
また、家である(はずの)月光荘とも仲良くなっていきます。
また今回、同じく川越を舞台にした『活版印刷三日月堂』に登場した「浮草」という古書店や三日月堂ゆかりの人々が登場します。
三日月堂ファンにも嬉しい展開でした。
家のつくもがみ
今回、読んでいて驚いたのが月光荘です。
月光荘は守人の恩師・木谷教授から管理人を任されている古い家…なのですが、この子(と呼びたくなる)は守人の前だとずいぶんと「おしゃべり」なのです。
月光荘は最初、昔住んでいた少女が歌っていた歌を口ずさむ程度でした。
でも、声を聞ける守人と会話することで、「ツカレタ」「タノシイ」など、カタコトのような言葉で話せるようになります。
そんな月光荘がとてもかわいらしい。
月光荘の言葉によると、家には「魂」のようなものがあり、他の家とも交流できるらしい。
なんだか年を経たモノが变化した「つくもがみ」のようですね。
家と人とのつながり
『菓子屋横丁月光荘』を読むまで、家はただの居住空間だと思っていました。
でも、この物語では家も長い年月を経て、人から大切にされることで、家もまた人を大切に思ってくれているのです。
守人のように声は聞けなくても、こうして家と人とがつながっていると考えると、家がとても愛おしくなりますね。

