『朝からブルマンの男』は、暗号、密室、鉄道ミステリなど、人気ジャンルが一冊に集まった、ミステリーの幕の内弁当のような短編集。
大学のミステリ研究会の女子二人が、日常に起こる事件を解決します。
『朝からブルマンの男』
冬木志亜のバイト先である珈琲店で、朝いちばんに来てブルーマウンテンを注文する客がいる。店で最も高いブルマンを、その男は不味そうに飲み、残していく。
なぜ、男はわざわざ苦手なコーヒーを注文するのか。
実は、ブルマン注文の裏には暗号が仕掛けられていて、ミステリ研の先輩・緑里は別の客とのある法則を発見して…。
実際に手描きの暗号が表記されています。この番号の意味がわかった時、思わず「なるほど!」と心の中で叫んでしまいました。
『学生寮の幽霊』
学生寮に出没する幽霊の謎解きを依頼された緑里先輩に付いて、古い学生寮へ。問題の部屋はホコリが溜まっていて、人の出入りした痕跡はない。
幽霊騒動の裏には、学生寮の取り壊し問題が絡んでいて、事件は意外な方向へ。
平面図が付いたミステリってワクワクします。ただ、トリックの描写がわかりづらく、謎解き後の解説図がなかったのが残念。
『ウミガメのごはん』
有名な水平思考クイズ『ウミガメのスープ』をもじった作品。
郷土料理を研究している友人から「父親が帰ってくる金曜だけ、なぜかウチのごはんがモチャモチャするのか」という謎を解くことになったミステリ研の二人。
謎とき自体は他愛もない(けれど面白い)のですが、『ウミガメのスープ』になぞらえた展開には興味を惹かれました。ウミガメ料理って実際にあるんですね。
『受験の朝のドッペルゲンガー』
熱海旅行の帰り、暴風雨で遅延している列車で近くに座った男性から「受験の時に友人のドッペルゲンガーを見た」と告白され、その謎を解く緑里先輩。
途中下車した友人が、なぜか同じ列車に乗っていたのはなぜか。双子の弟?それとも…。
謎解き自体は面白かったけれど、実際の時刻表、もしくはルートがあればもっとよかった。
実は鉄道オタクの緑里先輩による「JR時刻表」講座が面白かった。時刻だけじゃなく、観光にも仕えるんですね。
『きみはリービッヒ』
鉱物研究会で実験中に1カラットのダイヤが盗まれた。暗闇でケースが割られ、一人が怪我を負った。犯人はサークル内の人間か、そしてダイヤの行方は…。
鉱物の硬度を表した「モース硬度」によるミステリ。この世で一番硬いダイヤでも、衝撃や熱には案外弱い。そんな鉱物の特性を活かしたトリックでした。

