『今はちょっと、ついてないだけ』は、負け組たちの敗者復活。
「人生は何度だってやり直せるさ」なんて、ドラマや映画にありそうなセリフです。でも、実際はそう簡単なものじゃない。
でもこの本をよむと、一歩踏み出さずに後悔するより、少しでも前へ進みたくなる。小さな希望が感じられます。
『今はちょっと、ついてないだけ』あらすじ
立花浩樹は、若い頃ネイチャリングフォトグラファーとして騒がれた写真家だった。
しかし、プロデューサーの保証人になったせいで、莫大な借金を背負い、その返済のため故郷に戻る。
借金は返し終えたものの、カメラを持つこともなく、ただ流されるように日々を送っていた。
ある日、母の友人・宮川静枝から、自分の写真を撮ってくれと頼まれるが…。
負け組からの敗者復活
退職においやられたテレビマン宮川、技術はあるのに接客が苦手で伸び悩む美容部員、瀬戸。
崖っぷち芸人の会田など、世の中からみたら「負け組」と呼ばれる人々と立花が関わることで彼らの敗者復活がはじまります。
負け組たちそれぞれの描き方がよかった。
宮川なんて最初は失礼な奴だなと思っていたら、意外にも母親思いの一面がある。立花も過去の自分を嫌うあまり、頑なすぎるところがあるんです。
でも嫌な部分も、そうでない部分も同じように描かれているのに、読んでいて共感します。
そうなんだよね、人って誰かにやさしくても、他の人には嫌がられたり、いろんな面をもっているのだもの。
こんな働き方があってもいい
物語の中、立花は自分が住むシェアハウスで、転がり込んできた宮川と写真の仕事を始めます。
ただ、それだけじゃ食べられないから、バイトをしつつ、細々と続けるのですが。
途中からシェアハウスの住人・瀬戸にメイクを依頼したりすることで、付加価値がついて、そこから仕事の幅が広がっていくんです。
いろんなものを失ってしまったけれど、それでも若い頃のように「夢をかなえる」いうより、やりたいことをやっていく、それで食えなかったら、他で補填する。
一つの仕事をずっと続けるのも大事ですが、たとえそこからはみ出してしまっても、いくらでもやりようはある。
要は、自分が納得するかどうかなんですね。
作中で、婚活の写真を立花に撮ってもらった女性が相手に裏切られ、滞在先のホテルで現地の男性を買う話がでてきます。
「そんな関係は虚しいだけだからやめたほうがいいのに…」と、思ったのですが、最後まで読んだら「自分が納得してればいいのかもしれない。」と、思うようになりました。
個人的には賛成できないけど。
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